前回までは、幼稚園から大学を卒業するまでに、いくらくらい費用がかかるのかというお話をしてきました。
いわゆる教育費と学校以外の活動費、入学時にかかる費用と毎月の費用・・・様々な角度から見ていただけたのではないでしょうか?
さて、今回は実際にその費用をまかなう方法には、どんなものがあるのかをお話したいと思います。
●学資保険
まず、皆さんが思い浮かべるもの、又、既に利用されているものに「学資保険」があると思います。
この保険自体の説明は、以前のコラムをお読みいただきたいのですが、この学資保険で、どこまでカバーできるか?
を検証してみます。

学資保険には、みなさん、どれくらい入っているのでしょうか?・・・実際、この保険に加入されているお客様は、毎月の積立可能額を目安にしてらっしゃる方が多いです。例えば、お子様一人当たり、月に
5,000円〜20,000円で、積み立てられている方がほとんどです。
もちろん、「教育費は、いくら必要なんでしょうか?」というご質問に対し、前回の資料をお見せします。ですが、1,000万円くらいを今から積立だけで全て準備しようとしたら、毎月4〜5万円積み立てなければいけない計算になりますので、“まずは、始められるところから”ということで、月々の予算の許す範囲でスタートされているというのが実情です。
実際の、学資保険をみてみましょう。
最近のマネー雑誌にもよく登場する「ソニー生命の学資保険」(2008年5月現在の料率)を例に取り上げます。
例)<設定条件> ◆お父さん 30歳、お子様 0歳
◆お子様の年齢で18歳を満期とする
◆ソニー生命の学資保険(2008年5月現在)を利用した場合
◆毎月の積立額は、約 10,000円 (実際の掛け金「10,200円」)
以上の設定からしますと、
積立総額は、「10,200円×12ヶ月×18年間= 2,203,200円」
受取額は、「12歳の時:45万円」+「15歳の時:45万円」+「18歳の時(満期):150万円」=「合計240万円」
※ちなみに、金融商品としての学資保険を検証しますと、「年利 約0.5%」の商品となりますね。
いかがでしょうか?
12歳の時というのは小学校の卒業(=中学校への入学)、
15歳の時というのは中学校の卒業(=高校への入学)、
18歳の時というのは高校の卒業(=上位学校への進学時)と想定しています。
18歳時の150万円というのは、どう考えたら良いでしょうか?
例えば、受験費用、入学金、入学の準備費用といったイメージになると思います。その後の、毎月・毎年の教育費は、別途考えていかないといけません。
もちろん、高校生までの教育費を毎月まかなっていたわけですから、増加する分をどう考えるかということなるでしょう。ただ、ご兄弟がいる場合は、同時に2人3人の教育費用が重なってくるので、非常に大きな負担となる場合が多いわけです。
ということで、この教育費をカバーするその他の方法もご案内したいと思います。
●「奨学金」と「教育ローン」
どちらも、教育費目的のためにお金を借りる方法です。使い道は同じでも、利用するに当たり、様々な違いがありますので、まずは、両社を比べて見てみましょう。大学に進学される場合を取り上げてみます。
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奨学金
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教育ローン |
取扱機関 |
日本学生支援機構(旧日本育英会)、各自治体、大学 など |
国、大学と提携した金融機関、民間の銀行など |
審査基準 |
@学力基準
A家計基準の両方を見る(親の収入や家族構成などによる) |
返済可能かどうか
(通常のローンと一緒) |
借入可能額 |
月2万〜10万程度。
(年間で24万〜120万円) |
200万〜500万程度 |
金 利 |
2%程度。(無金利のものもある。) |
国の教育ローン 2.2%
(金融機関 2〜7%など様々) |
金利決定時期
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卒業時(返済開始時) |
融資決定時 |
借入れる人(=返済義務者) |
学生自身 |
保護者(親) |
返済方法 |
卒業後から。(毎月1〜2万円程度) |
ローン開始翌月から。
(@金利のみの場合もあれば、 A元利合計の場合もあり) |
申請方法 |
各制度により様々。
高校在学中からのものや大学入学後申請のものもあり。 |
随時 |
まずは、一覧で見ていただきました。
大きな違いとしては、まず返済開始の時期です。奨学金が、卒業後に返済開始なのに対し、教育ローンは、借り入れた翌月から返済開始です。大学と提携をしている金融機関の中には、元金は据置で金利の返済のみの場合もありますが、多くは、元本の返済がスタートします。結果的には、毎月のキャッシュフローは変わらないことになります。むしろ、金利分の出費が多くなります。
ただ、奨学金の審査は、多くの書類を提出したりなど手続きが煩雑かつ、基準が厳しくなっており、申請したからといって、必ず利用できるとは限りません。もし、審査が通らない、給付金の受取が間に合わないという場合は、(金融事故のないご両親であれば)教育ローンを利用することになるでしょう。
それぞれ、多くの奨学金制度やローンの種類が存在します。利用する条件や給付(貸与)額にも違いがありますので、次に、それぞれ詳しく見て行きましょう。 |